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短い答え
- モルタル外壁の劣化は、3つの層に分かれます。表面の仕上塗材/モルタル層/下地材(ラス・防水紙)
- どこが傷んでいるかで、工法が変わります。表面だけなら塗り替え。下地材まで傷んでいるなら、マニュアルは「専門家に調査を依頼する」としています
- 見分け方が書かれています。はがれた塗膜の裏にモルタルが付いているかで、表面の劣化かモルタル層の劣化かが分かれます
モルタルの外壁は、表面の仕上げ材・モルタル・その下の下地が重なってできています。
「塗ればいい」で済むのは、いちばん外側だけが傷んでいるときです。
ここでは、日本建築仕上材工業会の改修マニュアル(外壁モルタル仕上げの改修マニュアル 木造住宅編・確認日 2026-09-16)に書かれている見分け方と工法を引きます。
傷んでいる層で、工法が変わる
| 見えている状態 | マニュアルが挙げる劣化原因 | 工法 |
仕上塗材のふくれ・はがれ 裏面にモルタルが付着していない | 仕上塗材の劣化 | 「劣化原因に基づいて4.により工法を選定する」 |
仕上塗材のふくれ・はがれ 裏面にモルタルが付着している | モルタル層の劣化/モルタル(上塗)の硬化不良 | 同上 |
モルタル層の浮き・欠損 下塗りは硬化しているのに浮いて見える | ラス・ステープル・防水紙の劣化/下地材・下地組材の劣化 | 「専門家に調査を依頼する」 |
出典:日本建築仕上材工業会「外壁モルタル仕上げの改修マニュアル ― 木造住宅編 ―」表3.3.2 詳細調査の判断基準(NPO法人湿式仕上技術センター 監修・確認日 2026-09-16)。
はがれた塗膜の裏を見る、という具体的な見分け方が書かれています。
モルタルが付いてきていれば、表面だけの話ではありません。
ラスは、モルタルを引っかけるための金網です。防水紙はその内側にあります。
ここが傷んでいる場合、マニュアルは塗り替えの工法を選ばず、専門家への調査依頼としています。
モルタルとコンクリートは、何が違うのか
国の仕様書に、答えがそのまま出ています。
同じ「充填用」という用途で、モルタルとコンクリートの調合表が並んでいるからです。
出典は公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 表8.2.1・表8.2.2(確認日 2026-09-21)。
| 用途 | セメント | 砂 | 砂利 | スランプ |
| モルタル(充填用) | 1 | 2.5 | — | — |
| コンクリート(充填用) | 1 | 2.5 | 3.5 | 20〜23cm |
出典:同仕様書 表8.2.1(モルタルの調合・容積比)/表8.2.2(コンクリートの調合・容積比)・確認日 2026-09-21。セメントと砂の比は 1:2.5 で同じで、違うのは砂利が入るかどうか(3.5)だけです。
これはコンクリートブロック工事の章の数字です。すべてのモルタル・コンクリートの調合がこれ、という意味ではありません。
つまり、モルタルは「セメント+砂」、コンクリートは「セメント+砂+砂利」です。
砂利(粗骨材)が入るかどうかが、名前を分けています。
同じ仕様書のモルタルの表には、用途がもう2つあります。
| モルタルの用途 | セメント | 砂 |
| 目地用 | 1 | 2.5 |
| 化粧目地用 | 1 | 1 |
| 充填用 | 1 | 2.5 |
出典:同仕様書 表8.2.1(確認日 2026-09-21)。見える目地(化粧目地用)だけ、砂が半分以下になっています。同じ「モルタル」でも、どこに使うかで中身が変わるということです。
外壁の話に戻すと、ここが効きます。
「モルタル外壁」と呼ばれている壁は、セメントと砂を混ぜたものを塗った壁です。
砂利は入っていません。
だからコンクリートの壁とは、割れ方も、直し方も別になります。
塗り替えの工法は3つに分かれている
表面の仕上塗材だけが劣化している場合の工法を、マニュアルは既存塗膜の状態で3つに分けています。
| 工法 | どんなときか(原文) | 既存の塗膜 |
| 工法1-1 | 「既存塗膜に汚れ、変退色、光沢度低下、白亜化、磨耗、エフロレッセンスが生じている場合」 | 除去せずに塗り替える |
| 工法1-2 | 「部分的に既存塗膜のふくれまたは剥がれが生じている場合」 | 劣化部分のみ除去し、模様合わせをする |
| 工法1-3 | 「ほぼ全面に既存塗膜のふくれまたは剥がれが生じている場合」 | すべて除去する |
出典:同マニュアル 4.2 仕上塗材塗替え工法(確認日 2026-09-16)。白亜化は、触ると白い粉が付く状態です(外壁の白い粉)。
同じ「塗り替え」でも、既存の塗膜をどこまで剥がすかが違います。
見積書に「ケレン」「塗膜除去」の行があるかどうかは、ここに関わります。
洗い方は、汚れの種類で決まっている
マニュアルは、既存塗膜の清掃方法を汚れの種類ごとに分けています。
| 汚れ | マニュアルの方法(原文の要旨) |
| ごみ、ほこり、苔類 | 「ブラシ等で水洗する。または、水圧3〜7MPa(30〜70kgf/㎝²)程度の高圧水で水洗する」 |
| かび | 「ワイヤブラシ、ケレン工具、電動工具等でかき落とす。または、塩素系漂白剤等で漂白殺菌する」 |
| 手あか、油脂類 | 「中性洗剤を使用しブラシでこすりながら水洗する。または、ラッカーシンナー等で拭き取る」 |
| さび汚れ | 「ワイヤブラシまたは電動工具で除去する」 |
| エフロレッセンス、白亜化 | 「ワイヤブラシ等で削り落とした後、水洗する。または、水圧5〜15MPa(50〜150kgf/㎝²)程度の高圧水で水洗する」 |
出典:同マニュアル 4.2 a)(3)①(確認日 2026-09-16)。苔と白亜化で、書かれている水圧が違います。洗浄の費用は高圧洗浄の費用に各社の公表値を並べています。
「高圧洗浄」とひとことで言っても、当てる水圧は同じではありません。
外壁材によっては、高圧洗浄そのものを禁じているメーカーもあります(外壁の種類に原文)。
使う材料にも規格がある
| 下地調整 | 「JIS A 6916(建築用下地調整塗材)に適合する下地調整塗材または塗替え専用のシーラーとし、その種類は仕上塗材製造所の指定による」 |
| 仕上塗材 | 「JIS A 6909(建築用仕上塗材)に適合するものまたは同等以上の性能を有するもの」 |
| 仕上がり | 「仕上がりの色、模様、つや等は、見本帳または見本塗板と同様になるように仕上げる」 |
出典:同マニュアル 4.2 a)(2)・(3)③(確認日 2026-09-16)。調合・所要量・塗り回数・間隔時間は、仕上塗材のメーカーの工事仕様書によるとされています。吹き付けかローラーかの話は吹き付けとローラー塗りに国の仕様書の条文を載せています。
調べ方も決められている
マニュアルは、調査を事前調査と詳細調査に分けています。
| 事前調査 | 設計図書の調査/施工記録の調査/点検記録の調査/改修工事の記録/居住者・管理者へのヒアリング調査/外観の目視調査/指触による調査 |
| 詳細調査 | 指触・打診による調査/簡易な器具による測定/破壊検査 |
出典:同マニュアル 解説表3.1.1(確認日 2026-09-16)。
調査する人についても書かれています。
劣化調査・診断を行う者は、モルタル塗り仕上げ外壁におけるラスの取り付け、モルタル塗り、仕上塗材仕上げの知識を有する者とする。
漏水が見つかったときの扱いも、別に書かれています。
漏水の場合その原因が屋根からか外壁からかなど特定しにくいことがあるので、安易な判断を避けるため防水の知識を有する者と協議することが望ましい
雨漏りが出ている場合は、塗り替えの前に確かめることがあります(雨漏りの修理はどこに頼むか)。
業者に聞く4つ
- どの層が傷んでいるか。仕上塗材か、モルタル層か、下地材か
- はがれた塗膜の裏に、モルタルは付いていたか
- 既存の塗膜をどこまで除去するか。残す/部分だけ/全部
- 洗浄の方法と水圧。汚れの種類で分かれます
ひび割れがある場合の幅の基準は外壁のひび割れに、同じマニュアルから引いています。
診断が一致するか見る
2社以上に、同じ場所を見てもらってください。「どの層が傷んでいるか」で答えが割れたら、そこが判断の分かれ目です。一括見積もりサイト5社を、各社が公表している数字で並べてあります。
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出典と確認日
よくある質問
モルタル外壁の劣化は、どこで起きていますか
3つの層に分かれます。表面の仕上塗材・モルタル層・下地材(ラス・防水紙)です。
モルタル外壁は、塗り替えれば直りますか
どこが傷んでいるかで工法が変わります。表面だけなら塗り替え、下地材まで傷んでいるなら、マニュアルは「専門家に調査を依頼する」としています。
表面の劣化か、モルタルの劣化かは、どう見分けますか
はがれた塗膜の裏にモルタルが付いているかで分かれます。
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