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短い答え
- ケイカル板は「けい酸カルシウム板」の略で、軒天(軒裏)によく使われている板です。国の仕様書に「ケイカル」という略語は1回も出てきません
- この板を塗るときは、パテの前に「吸込止め」を全面に塗ると定められています。他の下地には無い、1工程多い扱いです
- 石綿(アスベスト)を含有する「第一種」を、切断・破砕して外す場合は隔離養生が要ると別章にあります。原形のまま手ばらしで外すなら、その条件には当たりません
軒天(軒裏・のきてん)を見上げたときの、白っぽい板。
多くはケイカル板です。外壁塗装の見積もりで「軒天塗装」として出てくる面です。
ここでは国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の原文を引きます(出典のPDFは下の出典欄・確認日 2026-09-20)。
公共工事の基準で、戸建てにそのまま適用されるものではありません。
呼び名は「けい酸カルシウム板」です
当サイトが仕様書の全文(令和7年版・299ページ)から数えました(確認日 2026-09-20)。
| 語 | 仕様書の全文に出てくる回数 |
| けい酸カルシウム板 | 6回 |
| ケイカル | 0回 |
「ケイカル板」は現場の略語です。見積書に「けい酸カルシウム板」と書かれていても、別のものではありません。逆に、書類で正式名称が使われている場合は、材料の特定ができていると考えられます。
塗る前に、もう1工程あります
6回のうち、いちばんはっきりしているのは素地ごしらえの表です。
出典は同仕様書 6.14.3(3) と表6.14.3(確認日 2026-09-20)。
せっこうボード面の素地ごしらえ及びけい酸カルシウム板面の素地ごしらえは、表6.14.3により、種別は特記による。特記がなければB種とする。
表6.14.3 の工程は、1 乾燥 → 2 汚れ・付着物除去 → 3 吸込止め → 4 穴埋め・パテかい の順です。そして表の注記2に、こう書かれています。
工程3の吸込止めは、けい酸カルシウム板面の場合に適用する。
つまり、同じ表で扱われているせっこうボードには、吸込止めをしません。
けい酸カルシウム板のときだけ、パテの前に1工程増えます。材料は「水系塗料」、面の処理は「全面に塗り付ける」と定められています。
| 下地 | 仕様書が求めている追加工程 |
| けい酸カルシウム板 | 工程3の吸込止めが適用される(水系塗料・全面に塗り付ける) |
| せっこうボード | 工程3の吸込止めは適用されない。工程4で「せっこうボード用目地処理材」を使う |
| 両方に共通 | 種別は特記による。特記がなければB種 |
出典:同仕様書 表6.14.3 及びその注記2(確認日 2026-09-20)。「吸込止め」は、板が塗料を吸い込むのを止めるための下塗りです。
別の章の塗装工程表にも、同じ趣旨の注記が2か所あります。「けい酸カルシウム板面の場合は、工程3の前に吸込止めとしてJASS 18 M-201 に基づく塗料を全面に塗る」。
ここが見積書で確かめられる点です。
軒天の塗装が「上塗り2回」だけで組まれていたら、下塗りがどうなっているかを聞いてください。
吸込止めが省かれると、吸い込みムラが出たり、塗膜が早く傷んだりします。
古い家では、まず石綿(アスベスト)の有無
もう1か所は、石綿の章です。出典は同仕様書 9.1.5 石綿含有成形板等の除去(確認日 2026-09-20)。
石綿含有成形板等の除去は、原形のまま、手ばらしで行う。
なお、やむを得ず切断、破砕等をしなければならない場合は、監督職員と協議のうえ、常時湿潤化した状態、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置を講じて作業を行う。
ただし、石綿を含有するけい酸カルシウム板第一種を、切断、破砕等により除去する場合は、養生シート等で作業場所の隔離養生(負圧不要)を行う。
けい酸カルシウム板には第一種と第二種があり、仕様書が名指しで別扱いにしているのは「第一種」です。
当サイトは、ご自宅の板がどちらかを判定できません。
築年数から推定もしません。
読み方を1つ注意します。隔離養生が条件になっているのは、「切断、破砕等により除去する場合」です。
原形のまま手ばらしで外すなら、この一文の条件には当たりません。
分かるのは次のことだけです。
- 除去は「原形のまま、手ばらし」が原則で、切断・破砕は例外
- やむを得ず切る場合は「常時湿潤化」「除じん性能を有する電動工具の使用」などの措置
- そのうえで第一種を切断・破砕するなら、隔離養生(負圧不要)
- 仕様書は、この除去を「石綿則及び大気汚染防止法に基づき行う」と定めている
軒天を「張り替える」「めくる」工事が見積もりに入っているときは、
石綿含有の調査をどうするかが書かれているかを確かめてください。
塗るだけの工事なら、板を壊さないので、この章の話にはなりません。
石綿の事前調査は、建築物の解体・改修工事で法令上の義務があります。当サイトはその手続きの詳細を扱っていないので、調査の要否は必ず施工業者と自治体に確認してください。ここに引いたのは、国の仕様書が第一種を別扱いにしているという事実だけです。
軒天は、外壁とセットで見たほうがいい面です
軒天だけを塗るために足場を組むことは、まずありません(足場費用)。
外壁塗装の足場で一緒に塗る面なので、見積書では外壁と同じ行にまとめられていることもあります。
軒天にシミや剥がれが出ている場合、原因が上(屋根・とい)にあることがあります。
といから水があふれていないかは雨どいのページ、雨漏りとして扱われる範囲は雨漏りの相談先に書いています。
見積書で確かめる3つ
- 軒天の下地は何ですか。けい酸カルシウム板なら、吸込止めの有無を聞けます
- 下塗りに何を使いますか。「上塗り2回」だけの行になっていないかを見ます
- 張り替えが入っていますか。入っているなら、石綿の事前調査の扱いを聞いてください
当サイトが金額を出さない理由
軒天塗装・軒天張り替えの費用の公表値を、当サイトは持っていません。
見積もりサイト各社が公表している相場にも、軒天は独立した項目として入っていません(外壁塗装の相場)。
「㎡あたり」で出てきた場合は、面積の測り方(軒の出×長さ)を聞いてください。
外壁の工事と一緒に見てもらう
軒天は、外壁の足場があるときにしか手が届きません。外壁の見積もりを取るとき、軒天の下地と下塗りをどうするかも一緒に書いてもらってください。一括見積もりサイト5社を、各社が公表している数字で並べてあります。
見積もりサイトを比べる
出典と確認日
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部:公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.14.3(3)・表6.14.3・9.1.5(確認日 2026-09-20)
- 取り出し方:PDF全文(299ページ)から当サイトが該当箇所を取り出し、語の出現回数も全文から数えました
- 旧版との突き合わせ:令和4年版とも照合し、石綿の条文が令和7年版で「切断、破砕等により除去する場合は」と限定されていることを確認しています
よくある質問
ケイカル板とは何ですか
「けい酸カルシウム板」の略で、軒天(軒裏)によく使われている板です。国の仕様書に「ケイカル」という略語は出てきません。
ケイカル板を塗るとき、ほかの下地と違うことはありますか
パテの前に「吸込止め」を全面に塗ると定められています。ほかの下地には無い、1工程多い扱いです。
古い家の軒天を外すとき、気をつけることはありますか
まず石綿(アスベスト)の有無を確かめます。石綿を含む「第一種」を切断・破砕して外す場合は隔離養生が要ると、仕様書の別の章にあります。
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